« 【スプリングボウル】 ラングラーズ 24-0 三菱商事CLUB TRIAX | トップページ | IBM BigBlue 34-3 BULLSフットボールクラブ  富士通スタジアム »

2017年4月22日 (土)

川崎フロンターレ 2-2 清水エスパルス  等々力陸上競技場

Zp1090745

不幸な終わり方だった。

試合が終わると同時に、ゴール裏は怒鳴り声と罵声に溢れた。

スタッフが陸上トラックを小走りして

金子が決めたJ1リーグ20000ゴールの記念ボールを

清水ゴール裏のコールリーダーのところへ持ってきた。

だが周りのサポーター達がスタッフに浴びせたのは怒鳴り声と罵声、追い返す仕草だった。

そんなボールはいらねえ、欲しいのは勝利だ、20000ゴールなんてどうでもいい、

サポーター達は柵に乗り上がり、そんな本音を怒鳴り倒した。

スタッフは動揺してボールを引っこめる。

ピッチの中央で整列して挨拶を終えた選手達。

真っ先に清水ゴール裏へやってきたのはJ1リーグ20000ゴールを決めた金子だった。

大勢のカメラマンを引き連れてフラッシュの嵐を浴びている金子。

金子の栄光の姿とは相反して、ゴール裏は荒れ狂っていた。

勝てないのに何を喜んでいるんだ、と怒鳴り声が上がり続ける。

勝利できないことに怒り狂うサポーター達の怒号がやまない。

スタッフはゴール裏でも穏やかだった場所に金子を誘導し

そこでサポーター達を背景にした記念撮影が始まった。

その様にゴール裏から次々と罵声が飛ぶ。

次々とフラッシュを浴び続ける金子に対し、やる気はあるのかと罵倒が続く。

選手達全員がやってくると、まとまったブーイングにはならず

かわりに選手個々の名前が叫ばれ、恫喝が繰り返された。

集中攻撃に合った選手は清水ゴール裏を離れてピッチ側へ逃げ

メインスタンドへ帰っていった。

そんな荒れ狂う状況下で、キャプテンのテセが川崎ゴール裏へ挨拶に行ってしまった。

ゴール裏は絶望的な状況になり

サポーターの何人かは暴力的な行為に走りそうになったが

それを周りのサポーター達が一人につき数人がかりで押さえつけ

スタッフ介入のない状況で終わらせようと奮闘した。

暴れ狂うサポーターはなかなか収まらず

多くに押さえつけられて身動きとれない状況で涙ながらに怒鳴り散らした。

テセは一旦、メインスタンドから館内へ消えてしまったが

少ししたあと走ってゴール裏へやってきた。

柵にしっかりと身を預けて張りつき、至近距離で怒り狂うサポ―ター達と対面した。

ようやく場を満たしていた怒鳴り声が収まった。

誰もの耳に通るはっきりした声でしっかりと至近距離で正面を見てテセは話した。

川崎ゴール裏へ行った意味、自分の人生とキャリア、ルーツ、

すぐに清水ゴール裏に来たかったが、監督が怒っており一旦戻らざるを得なかったこと。

サポーターの尽力、金銭的な負担。

自分達の勝ちたいという気持ち。

率直にテセは話し続けた。

私がそのとき感じていたことは、この場にいる人間達はみな不幸だということだ。

誰も勝者はなく、ただただ不幸だ。

テセもサポーターもエスパルスも何もかも不幸だった。

本当なら、後半アディショナルタイムで追いついてドローにできたこの試合

アウェイの地でよく頑張ったと称賛があるべきなのだろう。

だがそうならないのは前節ホームで大宮に勝てなかったことが影響している。

シーズン全敗で来ていた大宮にホームで勝てなかった。

これは選手達や小林監督の能力が非難されてしかるべきだ。

前節、ホームで大宮に勝てていたならば、等々力でこの結果でも収まったはず。

後半アディショナルタイムでゴールが決まったあと

本来なら選手達は喜びを讃え合うのではなく、全力で自陣に戻って

逆転を目指さなくてはいけなかった。

それをしなかったのはゴール直後に

主審がすでに試合終了を宣告していたのかもしれない。

だがリスタートに急がない選手達にゴール裏は壊れてしまった。

壊れた。

試合が終わる10分前ぐらいから実は壊れていた。

私が見渡す限りにおいてゴール裏の誰もが必死に応援し続けていたのに

最前で応援をリーディングしている者達は

全然声が出てない、そこが応援してないと、サポーター達に向かって恫喝を始めていた。

それ自体、良い意味で行われることが多々あるし、善悪はつけられない。

ただその様子が激を飛ばすという類のものではなく

人間が壊れて常軌を逸してきていた。

試合前から酒を飲み過ぎていたし、まあそれもよくあることだが

試合が終わる10分前ぐらいから味方に対する敵意が牙を剥き始めた。

応援よりも清水サポーター達に対して怒りをぶつけるばかりになり

何かが壊れたなという印象を受けた。

それが試合終了後、完全に崩壊した。

選手の個人名が怒鳴り上げられ、容赦ない罵倒が続く。

恫喝された選手は気持ちがエスパルスから離れていくかもしれない。

クールに相手をしてないようでいて、鼻で笑うようでいて、ずっしりとその体の芯に残るものだ。

かつての和道や藤本を思い出す。

やはり攻撃された相手はどれほどタフを気取ろうが潰れていく。

常軌を保つにはエスパルスから心が離れるより他ない。

私のような中年の人間は、若者達の怒り狂う心をダイレクトに感じることはできない。

彼らがエスパルスを応援する気持ちは本当で、だがそれが破壊的な方向に走ってしまう。

金子の20000ゴール記念撮影や選手挨拶の際

あれほどの混乱が急に起きたわけではない。

すでに試合が終わる10分前ぐらいから彼らはおかしかった。

壊れていた。

壊れるほどにエスパルスを愛し、日本全国どこにでも駆けつけ

金も時間も使い、命懸けでエスパルスを応援する人達だ。

彼らは壊れても、それを食いとめる仲間がいた。

彼らの暴力的な衝動を食いとめようと抱き着いた人達は彼らの仲間だ。

その場面だけを見れば暴威に思えても

すべてを見てきている人達は、その崩壊を食いとめるべきだと体を張る。

互いを認め合っている。

いい加減にしか生きてきていない私には到底できないことだ。

勝てなかった試合に対し、怒ることも壊れることもないし、

壊れた仲間を体を張ってとめる心もない。

J2に落ちようが金も時間も費やして応援してきた彼ら。

選手達がそんな彼らから、ゴール裏から気持ちが離れてきてしまうのは不幸だ。

ホームのIAI日本平はサポーターエリアがゴール裏の二階席であり

選手達は最も過激なサポーター達に間近で接することなく試合をしている。

試合終了後の挨拶では

わざと一階ゴール裏に過剰に近寄り

二階席のサポーターエリアから死角に隠れて逃げることもある。

本来ならホームの場所でこそ、もっとも親密なやり取りがあってしかるべきだ。

だがIAI日本平にはそれがない。

それが状況をさらに困難にしている一因かもしれない。

等々力の試合後にゴール裏が壊れたのは

前節の大宮戦の敗北のあと、サポーター達が処理できなかった塊が

この一週間で膨れ上がり、等々力で爆発したようにも思う。

彼らがこれだけ熱意を持って応援し続けているのに

選手達の気持ちが離れる、彼らからもエスパルス自体から離れる結果になるのは不幸だ。

不幸でしかない。

昔からよく感じていたことは、壊れること前提での応援というものだ。

どうにもならない試合で、試合終了10分前ぐらいから

試合終了後に壊れるための言い訳として応援している雰囲気を感じることだ。

まさかそんなわけがないと信じたくない話だが

今回は応援し続けているサポーター達に対し

容赦ない恫喝が最前から続いていたので、さすがに困惑した。

応援でもなんでもなく、ただの怒りでしかない。

だがそんな怒りを持ってしまった人間を押さえに行く仲間達がいる。

これは彼らにとって財産だ。

そのときだけではなく、もう何年にも渡ってすべてを知っているからこその行動だろう。

それだけは素晴らしく感じるし、私が到底やらないし、できない次元のものだ。

現在の時点でアウェイの地でフロンターレに勝つのは

エスパルスのポテンシャルでは難しい部分がある。

やはり前節だろう。

全敗中の大宮にホームで勝てなかった。

これは選手達と小林監督の能力の無さだ。責められるべきことだ。

それが一週間ひねられて押し潰され続け、等々力での試合後に爆発したように思える。

かつて一緒に清水を応援していた人達は

その熱意が本物であり、どこにも偽りない情熱の塊だったが

選手達の気持ちは彼らから離れ、そして彼らもクラブの決断により外に弾かれた。

すべて不幸だ。

どちらが正しいでも間違っているでもない。

不幸でしかない等々力の試合後のゴール裏だった。

選手達も不幸だし、サポーターも不幸だ。

テセがゴール裏へ身を乗り出し、サポーター達と話すのは

自分を不幸から救う手段であり、サポーター達を不幸から救う手段だ。

恫喝されて逃げた選手達は自らを不幸から救うこともできず

体に重く残るのを防ぐため、気持ちが離れていく。

等々力で不幸な試合だった。

勝てないとか、負けなかったとか、20000ゴールとか、そんなものが吹き飛んで

誰もが不幸だ。

不幸に終わった等々力陸上。

|

« 【スプリングボウル】 ラングラーズ 24-0 三菱商事CLUB TRIAX | トップページ | IBM BigBlue 34-3 BULLSフットボールクラブ  富士通スタジアム »

清水エスパルス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 【スプリングボウル】 ラングラーズ 24-0 三菱商事CLUB TRIAX | トップページ | IBM BigBlue 34-3 BULLSフットボールクラブ  富士通スタジアム »